4月14日に熊本県内で震度7を記録した大規模な地震。16日未明にはマグニチュード7.3を示す地震が再び発生。
その後も熊本県から大分県にかけて活発な地震活動が続き、激しい揺れに伴い、建物の倒壊や土砂災害も相次いで発生。
熊本地震について、熊本県上益城郡御船町在住のアーティスト、須藤かよさんのお話を伺うことができました。
ブラジル音楽を筆頭に、ありとあらゆる音楽をぐるっと飲み込み独自の世界観で突っ走る、熊本在住のピアニストであるかよさん。
現在はコンサートのために上京し、ライブ活動と同時に被災地への支援のために、義援金を募る活動をされています。
熊本のみんなや音楽仲間からの思いを受け、しばらく関東近郊でライブを行いながら、義援金を募っていこうと決意。
熊本と東京も繋げたい、そして呼ばれれば熊本のためにどこへでもライブへ行く、という強い意志の元、幅を広げて勢力的に活動中。
今後の義援金の使い道は、熊本の仲間と協議しています。
ライブで音を出して実際に出会う人がいる度に、元気とやる気が出てくる、という須藤さん。
演奏は確かな実力派。
中華街で聴かせてくれたセッションは叙情的なピアノに心地よいグルーヴ感のあるパーカッション、その上を浮遊するような動物の鳴き声のようなヴォーカル。
熊本の皆さんの思いを連れて。一音一音丁寧に、力強い音を奏でてくれました。
パワフルでどこか温かい空気をかもしだす須藤さんのお話を伺いました。
熊本で震災が起きてからの現地の様子は?
地震が起きて、みんながパニックになって、仕事どころじゃなくなった。
「次の日は余震がくるだろう」と言われていて警戒していたけど、実はその日が本震だったんですね。
これはかなり大きい地震…と思ったら、震度6強もあった。
かなり強い揺れで、もうね、どっかん、どっかーん、と何度もくる感じ。
結構長くて、何分揺れたんだろう…
とにかくずっと揺れててね。
夜中も震度5、4、3って続々と余震が続いてね。
なんかずっと揺れてて、怪獣の背中にのっているのかなっていうくらい。
さすがに気が狂いそうになって、本当に死ぬかもって感じた。
夜が怖くて、1日目も2日目も眠れない。
すべての人がほとんど眠れずに寝不足になったのね。
3日目はすごい雨風がやってくるって聞いて、また恐怖になってしまう。
その次も揺れは続いて終わらない。
逃げようと思って車に全部積め込みました。
テント、カセットコンロ、米などを積めて、アコーディオンも積んだのよ。
逃げるにも道が壊れててね。
阿蘇の大きい橋が壊れてね、そこが壊れると交通網がかなり遮断される。
新幹線や電車もストップして、流通も止まって、閉ざされた世界。
ガソリンもなくなるから、動かないほうがいいと判断して様子をみました。
家は水がでなくなったり、水が茶色くなったりね。
茶色の水でもシャワーを浴びた。家の近くには湧き水があって、そこで汲めば何とかなる。
自衛隊が役場にお水を運んできて、それを一軒一軒配っていってね。
いきなりやってきた救済。
私の友達は西原、南阿蘇、益城…市内のあちこちいる。
西原の友達は家が建ったばかりで、やっと落ち着いたと思ったら潰れちゃってね。
井上晴美ちゃんの家も近い。みんな家が潰れちゃってたね。
福祉作業施設の人たちは自宅が潰れているのにボランティアの炊き出しを手伝ったり、今も自宅もほったらかしでやっている人もいる。
ちょっと余震はおさまってきたけど、震度3くらいの揺れはちょこちょこ起きる。
震度4とかちょっと大きくなってくるとまた怖いっていう感じね。
熊本の友達に電話すると、まだ車で寝てるよ、とかね。
こんな時だからこそ、関係ない私のくだらない話に笑ってくれて、そういうのが助かるって言ってくれたりもしますね。
震災を体験して想ったこと
少しずつ日に日にいろんなことが変わっていく。
私が体験して思ったのは、心が眠れないと身体は疲れて、心が不安だと明日もわからない。
いろんなわからないがたくさんある。
家が潰れた人は何もできないし、家が潰れてなくても避難している人は仕事もわからない。
流通も途絶えているし、仕事によっては商売ができない。
みんなそれぞれの不安があって、メンタルはどんどんいろんな形でやられていく。
特に、女の人はメンタルが落ちやすい。
みんなで頑張り過ぎないようにしよう、って励ましあったりしてね。
炊き出しを頑張ったりしても、頑張るのも大変だし、逆に参加できないのもイライラしたり。
何も自分はできないんじゃないかって自分を責めたりするの。
何かしらみんなが感じることがあって、こういう風に人の心は変わったり、壊れたりするんだって。
東京でもニュースを見て、「自粛したらいいの?」って聞かれるんだけどね。
震災のニュース見ると心が傷むと思います。
心ってつらいものだからね。
でも、自粛なんて言葉は私の頭にはなくて、自粛なんて全然そんなことをする必要はない!って叫びたい。
こんな状況になって、どういう風に心をなくさないでやっていけるかを、何ができるかわからなくて、毎日悶々としちゃうね。
須藤さんは、熊本や東京の友人、音楽仲間などにもいろいろと相談したそうですね。
「あんたは音楽出来るんだし、しばらくそっちでエネルギーチャージして、またしばらくしてからガツンとパワー持って帰ってきて!」
そんな熊本のみんなの想いを聞いて、関東へ出向き、そこから各地を周り、義援金とパワーを集めて、再び熊本へ戻ります。
今後、関東にも来ることはあるそうなので、私たちもぜひコラボして、一緒にたくさんのパワーを集めたいです!
そんなお話が聞けた貴重な1日でした。
この記事を書いた人

-
一般社団法人PEACE PIECE監事 / 株式会社FIVE POINTZ取締役
1981年生まれ 福岡県出身
聴覚・視覚・知的障害児者施設や高齢者施設等を訪問し、幅広くボランティアに携わり、将来継続できるボランティアの体制やコミュニティーの場を作りたいと考える。 東日本大震災を機に夫婦で東北地方へ繰り返し訪問し、子どもたちを中心とした支援活動を開始。2016年に「一般社団法人PEACE PIECE」を設立。自身に出来るアートやイラストの展示や販売、イベント開催などによるチャリティー活動を行う。赤十字救急法救急員の資格を取得、被災地を訪問した経験から現地の声を活かした防災・減災活動をイベントや講習で実施。現在、自身のボランティア経験や手話の資格を活かし、障害児・者との交流の場作りや、女性目線での防災、子どもの貧困問題による地域の居場所作りにも取り組む。
最新投稿4件
- 2017.12.06ブログPEACE PIECE CUP特設サイトBLOG|松田直樹メモリアルNext Generation・活動への思いを更新しました。
- 2017.11.10ブログ宮城県石巻市|11月訪問
- 2017.10.16ブログチャリティーイベント開催予定ーサッカー選手の河合竜二さんにご協力いただいております
- 2017.10.01ブログ赤十字救急法ーAED講習・けがの手当て