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2016.4.8

【石巻】こども∞感ぱにー代表・けろちゃん(田中雅子さん)インタビュー《後編》黄金浜ちびっこあそび場に子どもたちの笑顔の花が咲く

こども∞感ぱにーとは

 

感ぱにーの「感」は、∞(無限)に広がる可能性を秘めた「子どもの感性」と「感謝の心」を大切にしたいという思い。

子ども達は遊びを通じて、想像力を掻き立て、それを実行・実現することで想像力を培い、自己の発見を繰り返していきます。

そして、一人では決して学ぶことのできない社会性や協調性を学び、成長していくためのたくさんのエネルギーを交換し合います。

そんな自由な発想と創造力を育む環境を作るとともに、いつも子ども達が笑顔でいられるための遊び場作りをしています。

そして、昔は当たり前だった、地域のみんなで子ども達の成長を見守り、子育てを行う地域を理想とし、地域の人たちと共に子どもたちの遊び場作りを行っています。

 


【HP】 http://codopany.org/

【住所】〒986-0042 宮城県内石巻市鹿妻南2-1-7

【電話】090-5902-0307 (受付時間:月~土 10:00~18:00)

黄金浜ちびっこあそび場はコチラ 〒986-2135 宮城県石巻市渡波字黄金浜152-2


 

こども∞感ぱにーは、震災をきっかけに石巻で活動を行い、子ども達の遊び場作りと子ども達の笑顔を通じて地域の方たちの集まる場所作りに携わっています。

こども∞感ぱにー代表・けろちゃんの愛称で親しまれる田中雅子さんに、震災後の石巻の様子や石巻の子どもたちの遊び場についていろいろとお話を伺いました。

前編をまだ読まれていない方は、是非ご一読ください。

>>【石巻】こども∞感ぱにー代表・けろちゃん(田中雅子さん)インタビュー《前編》黄金浜ちびっこあそび場に子どもたちの笑顔の花が咲く<<

それでは、さっそくインタビューの後編をお届けします。

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子どもたちはあそび場でどんなことをして遊ぶの??

 

子どもにとって遊びとは「生きることそのもの」と、こども∞感ぱにーは伝えています。

「やってみたい」「作ってみたい」という好奇心、やってみて成功した喜び、失敗した時の悔しい思いも、すべてが子どもの成長に大切なこと。

子ども自身が考えて、決断し、自分の責任で遊ぶことが「本来の遊び」だと考えているそうです。

毎年行うキャンプでは、ご飯を炊くための薪拾いから子供たちは体験しているとのことで、まさに大人顔負けの本格的な遊びです。

最低限の食材と調味料しか持参しなかったり、時には海や山で食材を調達し、子どもたち自身で動物の命を頂き、調理するのです。

山で薪を拾い、お風呂を沸かして入る・・・キャンプを通して大自然を体感することで、身も心も満喫するようですね。

 

―以前伺ったときに、子どもたちが火を使って食事を作ったり、釘を打って大工をすると聞いたのですが?

けろちゃん 市の管轄の公園は火を使ったらいけないじゃないですか。

火を焚くことは子どもたちも大好きで、火を焚くとそこに子どもたちが集まってくるんです。

ここはオープンしたときから火を使い始めていて、消防署にも相談しています。

一人一品、材料を持ち寄れば、みんなで何かを作れるから、いつもお昼ご飯を作ります。

そうそう、大工仕事を好きな子もいるんですよ!

 

―現代の子供たちは、釘を打てなかったりしますよね。

けろちゃん 大工をする場所もないしね。

昔は家で物が壊れたら、お父さんが修理して日曜大工をすることも普通だったよね。

今はトンカチすら家になかったりするけど、子どもたちは物を作るのが好きなの。

2歳児の子もノコギリ使いますよ。

あと、小さいころから怪我をすることはとても大事。

やりたいって思ったことをいろいろ経験できる場所でありたい、と考えています。

私たちスタッフのルールは「ダメ」「◯◯しなきゃいけない」を使わないようにしています。

失敗させたくないっていう気持ちはわかるんですけど、それをやると何もできない子になるから、敢えて言わない。

大怪我になるようなことや、弱い者いじめをするようなことはもちろん止めますけどね。

危ないって思う時も、そこから落ちたらどのくらいの怪我になるかを計算します。

だけど、50センチくらいの丸太から落ちても大した怪我にはならない。

落ちたときにガラスやくぎがあれば危ないから、そういうものを取り除く。

それ以外はのびのびとさせたいです。

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―これは大人になって役に立つようなことですね!

子どもたちの考える力を育むってところは重要ですよね。

けろちゃん 学校では規制が多いじゃないですか。

学校ではひとクラス40人くらいなので、決められたルールがあるのは当然で仕方のないこと。

その中で子どもたちはいつも生活をしている。

でも、ここに来ると自分たちが使いたいものを使って何かを作ったり、ある物の中から独自の遊びを作り出したり・・・そんな場があってもいいかなって。

 

―子どもたちのやってることにカラーがでませんか?

けろちゃん そうそう、遊び場は進化していくの。

自分たちで考えて、作って、壊して、また作る・・・ということを繰り返していく遊び場。

年齢を決めずに、誰でも来れる場所だから、小さい子を大きい子が面倒みています。

おじいちゃんやおばあちゃんが来て、高齢者との交流もありますね。

 

―愛着がある場所になりますよね。

けろちゃん 子どもたちが自分たちでお金を稼ぐ、ということもやっています。

毎年夏にキャンプをしていて、そこに持っていく材料はお米、保存が効く野菜、乾麺、調味料・・・あとは現地で調達するの。

例えば、(キャンプで)カレーを作りたい、スイカ割りしたい、という子供たちが作りたい物の材料をこっちで稼いで持っていこうってね。

 

―自立心が養われますね。世の中のことを一通り知る、というね。子どもたちがお金を稼ぐのはどんな場所ですか?

けろちゃん 準備して、作って、販売して、最後は会計処理もしてってね(笑)

例えば、地域のお祭りの出店に、子どもたちがたこ焼きを3~4回出展します。

最初はたこ焼きで練習していたけど、たこが高いからソーセージを入れ始めたの。

ソーセージは肉汁が出て、おいしいんですよ(笑)

貝殻を飾りつけして、貝殻屋さんをやった子もいます。

「いくらにするの?」と聞いたら、「ゼロ円」って言うの。

「それでいいの?」って言うと、「いいよ」って言うんだけど、本人は販売する意識なの。

おばあちゃんたちは子どもたちが可愛いから寄ってきて、「ゼロ円」と言われても、何かしたいわけなの。

それは、広島の土砂災害(2014年8月)があった時のお祭りでね。

広島への募金箱を置いてたんだけど、その子が「募金してくだい」って言うとみんなが集まってきて、かなりの募金が集まりました。

 

震災後、子どもたちの心の変化はどうなっているの?

 

震災から5年。

それでも、子どもたちの脳裏にはあの日の恐怖はずっと深く残っているのです。

例え、海の近くで遊べたとしても、海の近くに行くことを怖がる子どももいるそうです。

そんな子どもたちの心の中は今、どんな思いなのでしょうか。

 

―震災後、子どもたちの心のケアはどうなっていますか?

けろちゃん 石巻で唯一、仮設の中学校に通っている子どもたちがいるのが渡波中学校。

だけど、小学校の敷地に建っているから、休み時間は校庭で遊べなかったりするのよね。

そこにいる小学生には話しかけちゃいけない、決まった時間にバスで帰らないといけない、というような学校生活のルールがどうしてもでてくる。

あそび場に毎回遊びに来て、破壊行為を行ったりする子もいる。

でも、それが悪いことじゃなくて、それだけストレスが溜まっているのかな。

そうなると、あそび場のプレハブが中高生の居場所にもなってくるんですよ。

だから、あそび場もちょっと長く、夜の6時、7時くらいまでやろうかなって思います。

あとね、一番感じたのは、2014年の春にキャンプに行ったとき。

ちょうどチリ沖地震があったのね。

津波の注意報、警報があったら、キャンプ中に避難することになるかもしれない、という状況になったの。

警報だったらサイレンがなるって、前もって子どもたちには言っていたのよ。

でも、夜中の3時に、注意報のサイレンがなって、大人でもびっくりして、怖かったのね。

その時、15人のうち、10人くらいの子どもたちは具合が悪くなってしまったの。

次の日に熱が出たり、お腹が痛くなったり、泣いちゃう子どもがいたりした。

昼間は平気でも、夜になると一人じゃいられなくなる子もいたりね。

普段遊んでいる子どもたちだったけど、すごく心が表面にでたんだよね。

やっぱりみんな、ずっと心に残ってしまっているんだなって感じました。

渡波の子どもたちは津波を経験して、遺体もたくさん見ている、という意味では、普段は見えないけど、みんなの心の中にはいつもあるんだ・・・と、その時にすごく実感しました。

 

最近のあそび場の状況は変わってきたの?

 

石巻で長く活動を続けていくと決めたこども∞感ぱにーは、2015年8月7日にNPO法人化しました。

確実に復興は進んではきていますが、あそび場の整備はまだまだというけろちゃん。

仮設住宅での生活や仮設校舎での学校のストレス。

消えない津波への恐怖心。まだまだ、子どもたちと共に歩んでいきたい、というスタッフのみなさんは共通の思いなのです。

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―NPOに法人化したことで、長い目で継続していくことができますね。

けろちゃん 運営に縛りがでてきたりするから、あまり法人化はしたくはなかったの。

でも、活動を継続していくために、行政との連携や助成金も法人格がないと取れないものもあるからね。

 

―僕らも長期的に継続するために、法人化を決めました。

資金面の問題にぶつかるので、NPOや社団法人にできないと継続が厳しいですよね。

僕らの住む横浜も津波のリスクがある町なので、神奈川県では東北のことを教訓にした防災活動をやっていこうと思います。

けろちゃん それは大切ね!

今、黄金浜でフリースクールを始めるの。

どこかでやらされているという感じが子どもにはあったりするから、考える機会って本当に大事。

それが悪いことだって思っていないから身についていて、自然と考えることを知らない。

私たちに「これ使っていいですか?」「帰っていいですか?」といちいち確認する子どもがたくさんいる。

帰りたいから帰る、やりたいからやる、そんな単純なことがなかなかできなかったりね。

今の教育現場に順応できない子どももいます。

それが、本人の問題か学校の問題かはわからないけど、少なくとも自分の居場所を探しているのは確かなこと。

いろんなタイプのフリースクールがあるけど、私たちは、自然の中で自分たちが生かされているってことを経験できるような場所にしたい。

山に行って食べられる実や草をとってきたりね。

今年は春から、あそび場でスクールをやるの。

 

あそび場でフリースクールをやろう!

 

年々増加傾向にあるいじめや不登校、子どもの自殺、虐待。

社会が抱えている課題はここ、東北でも直面している問題です。

こども∞感ぱにーでは、集団行動は苦手、同世代と話すのは苦手な子など不登校や引きこもりの子どもたちも受け入れています。

みんなで子どもを育てていける環境を作っていきたい、と思っているそうです。

 

―フリースクールはあそび場でやるの?それは外ですか?

けろちゃん あ、ついに冬にプレハブが完成したんです!

子どもはすごい元気なんだけど、冬はあそこ寒いでしょう(笑)

みんな、建物がほしかったわけで、何年越しかのプレハブが建ったのよ。

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子どもたちにとっては本当に楽しい場所。

未就学児の親子が最近、子育てサークルとして日中に使ったりもします。

プレハブができたら、週1から週3に増やしてやりたいと、お母さんたちも頑張っていく。

フリースクールっていうと大げさだけど、不登校の子供たちの居場所にもこれからはなっていくかな。

 

―ここでは本当にみなさん活発ですよね。

僕らは田舎の出身ですが、都会に来てからの感覚ではみんな腰が重いんですよねえ。

震災がきっかけとなり、そこからみんなで一緒に、という強い気持ちもあるんですよね?

けろちゃん 確かに、都会に住んでたら難しいよね。

きっかけは震災ってとこなんだけど、私たちもやりたいことを見つけられる。

子どもたちが「プレハブほしい」という要望があるから、やろうかなってなる。

何も無いことからみんなで考えていくのは、誰にとっても楽しいんだな、って思うの。

 

―私たちの住んでいる黄金町も、子どもの遊び場がない場所なんですよね。

町のイメージも悪く、子どもを外で遊ばせる場所が少ないので、子どもの遊び場があったらいいなって思いますね。

けろちゃん ここら辺では遊び場を始めるまで、外で遊ぶ子どもたちも少なかったの。

遊び場を始めて出てくる子どもたちがすごく多くてね。

住んでいる場所で遊んでいる子どもを見ないって言うけど、そういう場所を作るきっかけがあれば、出てくる子どもは必ずいると思う。

継続することが大事なことじゃないかなって思う。

遊びが嫌いな子どもはいないよね。

知らないだけだし、経験が無いだけだからね。

 

―この場所は、渡波の子どもたちの心のヨリドコロや発散になっているでしょうね。

今後も継続的にあそび場の開催を行い、子どもが安心して挑戦と失敗ができる関係作りと居場所作りを行い、子どもたちの生きる力と無限の可能性を育んでいきたい―

こども∞感ぱにーの思いです。

私たち大人はもっともっと子どもたちの声に耳を傾け、子どもたちの笑顔を守っていく必要があります。

それは、東北だけではなく、ここ日本に生きるすべての大人たちが、助け合いながら生きていくそんな環境作りを行いたいですね。

震災を体験した東北、石巻の子どもたちはたくましく、そして元気に成長していきました。

その笑顔に大人たちは助けられ、子どもたちが希望の光を導き出してくれた・・・そんな子どもたちを私たちも見守って、応援していきたいですね。

この記事を書いた人

高畑 明希子
高畑 明希子
一般社団法人PEACE PIECE監事 / 株式会社FIVE POINTZ取締役
1981年生まれ 福岡県出身

聴覚・視覚・知的障害児者施設や高齢者施設等を訪問し、幅広くボランティアに携わり、将来継続できるボランティアの体制やコミュニティーの場を作りたいと考える。 東日本大震災を機に夫婦で東北地方へ繰り返し訪問し、子どもたちを中心とした支援活動を開始。2016年に「一般社団法人PEACE PIECE」を設立。自身に出来るアートやイラストの展示や販売、イベント開催などによるチャリティー活動を行う。赤十字救急法救急員の資格を取得、被災地を訪問した経験から現地の声を活かした防災・減災活動をイベントや講習で実施。現在、自身のボランティア経験や手話の資格を活かし、障害児・者との交流の場作りや、女性目線での防災、子どもの貧困問題による地域の居場所作りにも取り組む。

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